このページは、小山本家酒造のあらゆる部門でお酒造りや、管理・販売にかかわる社員の仕事に対するこだわりを語ってもらうページです。小山本家200年の伝統と技術を持つ一人一人の「こだわり」に是非耳を傾けてください。

「失礼します!」 快活な声が部屋に響き渡り、いい具合に陽に焼けた面立ち。きらきらとした目に笑みを浮かべた男性が私の前に現れる。KODAWARI・インタビュー、トップバッターの松岡さんである。軽く自己紹介をした後早速仕事の内容についてお伺いした。

( 編集者 ) 現在担当しているお仕事は?
(松岡さん) 弊社は、独自で物流部門を持っており、その物流部門で「商品管理」「ピッキング作業」「パレット管理」「自動倉庫管理」「フォークリフト管理」などの全体業務を統括する仕事をしています。 簡単に言えば、物流部門での「人員と設備・商品のコントロール」ということになると思います。

( 編集者 ) 小山本家酒造に入られて、もうどれぐらい経つのですか?
(松岡さん) 小山本家酒造にお世話になってもう10年になります。その前は、長距離のドライバーなどをやっていました。ここにお世話になってからの10年は、あっという間のようであり、またとても有意義な10年だったと思います。本当に好きなように、のびのびと仕事をさせていただいていて、とても満足しています。 5年前に弊社では大きな改革がなされました。組織・設備・システムにわたる画期的な改革です。物流部門に於いてもその改革によってあらゆる商品の出入プロセスで、トリプルチェックがなされ、無駄のない物流システムが構築されています。
( 編集者 ) 改革によって変わった部分をもう少し詳しくお話していただけますか?
(松岡さん) まず、「誤出荷が極めて少なく」なりましたね。それは、社員全員の商品単価への意識高揚の表れだと思いますし、個々の責任心情が定着したことが大きかったと思います。
次に「現場の改善(カイゼン)」です。無駄な人員と商品、設備の動きを無くしていくことで、コストを収縮していけると同時にトラブル・事故を未然に防いでいけます。
共に働くスタッフは人間。個性の集まりなんです。「次にどう動くか?」というワークスタイルを教育・共有することで「生きた組織」が出来ていくのだと思っています。
(編集者) 松岡さんにとって、この仕事での「KODAWARI・こだわり」とはなんでしょう?
(松岡さん) そうですね。スローガンのようになってしまいますが…
  ・確実な商品の出荷をし、お客様に迷惑をかけない。
  ・笑顔と整理整頓で、「正面看板意識」を持とう。
  ・真心あふれたスタッフによる生きた組織を作ろう。

いつも出社5分前に来て仕事場の落ち葉やゴミを拾っている。そんな真心を持ち続けたいし、そんな仲間とこれからも仕事をやりたいですね。
( 編集者 ) スタッフがやはり一番大事だということでしょうか?
(松岡さん) その通りです。小山本家酒造の歴史と伝統はそこから来ているんじゃないかと思います。何より弊社社長の「すべての人を分け隔てなく、大事にする」という人柄によるところが大きいと思いますね。皆の話に一対一で耳を傾けてくださるんです。私も公私に渡ってお世話になってきました。その受けた分、お互いにスタッフを大事にしないといけませんね。
( 編集者 ) 松岡さんの将来の目標はどんなところにありますか?
(松岡さん) いろいろあるんですが、、、。
いくつか挙げるとしたら、まず「限りなく自動化・無人化のシステム」を目指したいです。それは、事故率を限りなく低くしていく挑戦だと思っています。
次に「伝統と新しさの融合。絶妙なバランス感覚を持った会社」にしていきたいですね。今でも十分そのカラーは出ていますが、もっとそれを洗練し、社会にアピールできるようにしたいです。
最後に私の個人的な望みでもあるのですが、「物流って面白いな」と思えるように、いい意味で「カッコよく、目立ちたい」ですね。
( 編集者 ) そこがまた、松岡さんの「こだわり」ですね。
(松岡さん) (照れたように、うなづきながら、、、。) その通りなんです。 (編集者) 今日は、貴重なお話ありがとうございました。さらにカッコよさを磨いて、お仕事がんばってください。、、、、、、、、。
(松岡さん) 
はい。ありがとうございます。またお会いしましょう。
( 編集者 ) 是非。!!!


と、松岡さんの熱く語ってくださったインタビューは終わったのだが、ひょんなことで個人的なお話になった折、彼がなんと、インディーズでCDを出したこともあるアーティストで、現在も定期的に路上ライブ活動を続けておられることがわかり、小生も音楽業界出身であることもあって、話が大盛り上がり。!!その他にも活動は多方面にわたり、様々な夢と希望、ビジョンを持っていらっしゃるユニークな方であることがわかりました。
他の社員の皆様もそうですが、本当に個性あふれる人材を有していらっしゃる小山本家酒造の伝統と懐の広さを垣間見たインタビューでした。松岡さんのアーティストとしてのもう一つの顔など、ひょっとしたら将来ご紹介できるかもしれませんね。


 小山本家酒造という酒造メーカーは、このホームページ等を見られている皆様には、どんなイメージで写っておられるでしょうか?もちろん、それを知ってもらいたいからこそ、このホームページがあるのですが、、、。
  小生がこれまで小山本家酒造を何度も訪れ、商品を見、社員の皆様に触れ、設備を見学させていただく中で、酒造メーカー業界の中ではとても”ユニークなポジション”にある会社ではないかと確信しています。どうユニークであるかはこの場で述べ始めると、それだけでページが終わってしまうので割愛させていただきます。が、会社の規模、商品、設備の大きさと生産量、総売上高などそれらの数字から見ると、東日本最大の酒造設備と流通部門なども持ちながらも従業員数140名と意外に少ない社員数で、確実に実績を伸ばして来ています。
  その中でも一つ注目すべきことは、近年設けられた「マーケティング部門」の存在です。今日はそのマーケティング部門の「こだわり」について”植田早紀子さん”にお話をうかがいます。

( 編集者 ) こんにちは。まずお仕事の内容についてお話いただけますか?
(植田さん) はい。「マーケティング部門」の仕事としては、まず


   1、新商品及びリニューアルの為の販売促進企画の立案
   2、各種営業支援
   3、市場分析


大きく分けると以上の3つになると思います。
( 編集者 ) 新商品は、毎年何種類ぐらい出ているのですか?
(植田さん) 毎年決まった商品数というものは無いのですが、季節限定の商品や小売店向けのPB商品まで入れると、結構多いと思います。
( 編集者 ) それに「リニューアル」商品も加わるわけですね。
(植田さん) はい。結構それらが重なることもあって、そのときはとても忙しくなります。

( 編集者 ) これまでの植田さんの経歴は、ざっとどんな感じだったのでしょう?先日お会いしたときに入社5年目だとお伺いしましたが、、、、。
(植田さん) ええ。今年で5年目です。大学は化学プラント分野の勉強をしていました。
( 編集者 ) 化学プラントというのは、・・・あの、たとえばコンビナートとか、のですか?
(植田さん) そうです。私たちが日ごろ目にする食品でも薬品でも、規模にかかわらず多くはプラントの設備で作られています。小山本家酒造の設備も立派な酒造プラント設備だといえますね。
(編集者) 工場見学してみてそれは本当にびっくりしました。話が横道にそれてしまいましたね。すいません。(笑。)
(植田さん) 当初営業部でのマーケティング部門で様々勉強させていただき、その後今から約1年前に本部の直轄部門としてのマーケティング部門が誕生しました。弊社としても「市場の動向にあわせた商品開発」にもっと専門的にアプローチしていく段階だったと思います。それから、定例で「商品開発会議」が開かれ消費者の「年代層」や「世相」を考慮した商品企画をどんどん提案しています。
( 編集者 ) そのような中から、ヒット商品の「米だけのお酒」シリーズが誕生した訳ですね。
(植田さん) はい。そういえると思います。「米だけのお酒シリーズ」は、ターゲットが完全に主婦に設定されています。ですから、「やさしいのどごし」そして「高い品質」、何といっても「安心して飲める」というのが「鍵」だったと思います。
( 編集者 ) なるほど。では、マーケティング部門の植田さんにとって、「こだわり」とは何でしょうか?
(植田さん)

こだわり」ですか?そうですね。小山本家酒造では、新商品・リニューアルを含めて「50アイテム」を用意しています。ですから、

 1、銘柄、種類を総合的に市場分析し、全商品アイテムの中でバランスをとる。
 2、他社との差別化を常に考えた企画を提案していく。
   (近年の健康指向にあわせ、アルコール度数を抑えた梅酒など)
 3、お酒をこよなく愛する気持ちを大事にする。
 4、部署間、社員間のコミュニケーションを大切にする。

「こだわり」といったらこんなところでしょうか。
( 編集者 ) 植田さんの「目標」を教えてください。
(植田さん)お酒を「ツール」と考え、総合的なプロデュースをしていきたいです。お酒の「役割」の提案、たとえば「コミュニケーション」「機能性」をプラスし、 様々な付加価値を広げていくことで、「ヒット商品」を生み出していく、、、これが私の目標です。
(編集者) マーケティング部門ですから、やっぱり目指すは「ヒット商品」ですよね。ところで植田さんの個人的な「夢」は有りますか?別に仕事に関係なくても よろしいのですが、、、。
(植田さん) 「夢」ですか?、、、私は旅行が好きなんです。だからいずれ「日本酒探求の”食の旅”」をしたいですね。世界中に日本酒の良さを伝える旅もしてみたいです。
( 編集者 ) それは、趣味と実益を兼ねて、、、、という感じですね。
(植田さん) はい。それに何しろ、お酒が大好きですから、、、、、(笑。)

「お酒が大好きですから、、、、」と微笑むその純粋さに、「お酒はどれぐらい、いけますか?」

という通例のお返し言葉を失ってしまった小生ですが、なぜか「日本酒文化」の明るい未来を感じたのは紛れも無い真実です。それにしても、マーケティングとは、市場の動向を察知して一歩、二歩先を提案できる「絶妙なバランス感覚」が必要だといわれています。「遅れてしまってはダメ、走りすぎてもダメ」らしいのです。
  彼女の「化学」フィールドをベースに持つ論理的ロジックと、女性としての純粋な酒文化の 捉え方&感性が絶妙なバランスで、これからも小山本家酒造の戦略の一部になっていくのだろうなと確信しました。(なぜか、とっても堅い表現になってしまい恐縮です。笑。)

 そうそう。彼女はインタビューの最後にこんなことを言ってました。名前が「早紀子」で「SAKI」。これを西洋読みでは、よく「SAKE」と呼ばれることが多いそうです。「SAKE」は、イコール、「酒(さけ)」。すなわち、

     私 と 酒 、 「これは運命(Destiny)だ!!」

                        ・・・・・・・ なるほど、 納得ですね。

 「営業の顔」というものがあるのを皆さんはご存知だろうか?
 人間にはその職業や分野で、培われ出来上がっていく顔の相があるものである。その手の解説本を昔読んだことがあるが、とても興味深かく心に残ったことが一つある。
 それは、人の正面の顔は、対外・対社会的な過去が刻みこめられ、横顔にはその人の内面的なものが刻みこめられるということであった。
 「営業」という仕事はまさに「人を劇的に変え、成長させる職業」の一つだと思っている小生は、営業職の人と会い、その苦労話などをうかがって、その人の顔相の成り立ちとに因果関係を見つけることに、なんともいえない喜びを感じる変な「趣味」がある。、、、趣味が悪いといわれても、、、、「趣味」だから仕方が無い。
 今日ご紹介する白田さんは、そんな「営業の顔」を感じさせる中堅メンバーの一人で、現在は名古屋で中部地域の営業を担当している。月に何度かは、会議のために埼玉本社に来られるそうで、そんな忙しいスケジュールの中、このインタビューに答えてくれた。

( 編集者 ) こんにちは。お忙しい中、ありがとうございます。
(白田さん) こんにちは。 こちらこそ、よろしくお願いします。

( 編集者 ) 月に一度は、今日のように必ず会議で埼玉に出てこられるんですね。
(白田さん) 月例会議としては月いちですが、それ以外でもいろんな用事でこちら に来ることはありますね。ただもうインターネットの時代ですから、急遽必要なことは ほとんどメールで、やり取りが出来ますから、便利になりました。

( 編集者 ) 白田さんは、営業職としてはもうどれぐらいやっておられるのですか?
(白田さん) 営業専門としては3年目です。しかし、その前7年ほど営業部の中の マーケティングの方でやってました。そのときも活動内容としては、営業と似たところが 多く、そういう点では営業分野では、トータルで10年いたことになります。
( 編集者 ) この3年間はずっと名古屋方面におられたのでしょうか?
(白田さん) いいえ。名古屋に移ってから1年半になります。それまでは、関西の方をいろいろ回っていました。四国の高知にもいたことがあり、何しろ「辛口」の本場ですから、お酒に対するこだわりも「辛口」で大変だったのを覚えています。

( 編集者 ) 現在、名古屋におられるわけですが、営業として任されている地域は、どこまでになるのですか?
(白田さん) 大まかですが、三重・岐阜・静岡・愛知、それに福井・富山・石川の北陸3県になります。

( 編集者 ) 営業対象はやはり小売現場になると思うのですが、その6県全域というのは大変ですね。小売店など相当な数になると思いますが、、、、カバーできますか?
(白田さん) 法律の改正でそれまでの「免許制」が廃止されてから、お酒の販路において 構造変革がおこりました。それまでの大手の小売業者さんに併せて、モール系のスーパー、ディスカウントストア大手さん等がどんどん酒販に参入されたことで私たちの営業ターゲットもそちらに大きく広がってきました。

( 編集者 ) 他のメーカーさんも同じように売り込んできますから、現場は大変でしょう? 規制緩和の功罪というのもあるんじゃないですか?
(白田さん) そうともいえないことは無いですが、営業の現場は大変なのが「前提」だと考えないとやれません。しかし、ある面で考えると「変革」は「チャンス」だとも言うことが出来ます。ターゲットが変わり、やれる事が規制緩和で広がったことで自分たちの「アイデアと工夫」で他社との違いをアピールできるチャンスが生まれていることは確かですね。

( 編集者 ) なるほど。たとえばどんなことですか?
(白田さん) 小山本家酒造は、他社メーカーさんと違い、商品ラインナップが非常に多く、それらの商品ターゲットが極めて広いので、年間を通じ、広い消費者層に向けてコンスタントな企画提案が可能です。
 その地域の名産品に合わせた酒質のお酒とカップリングして、販売促進企画提案することが、容易にできるということで、たとえばですが、「土用のうなぎ」にピッタリ会う味覚のお酒を選び、それらをカップリングして売り出そうという企画も上がっています。
 50種類以上の豊富なラインナップを持った小山本家酒造でなければ、このようなことは出来ません。このアドバンテージを是非生かして行きたいですね。

( 編集者 ) それは面白いですね。そういう発想はまさにマーケティング分野で培ったノウハウですね。
(白田さん) そうですね。是非、「メーカー提案」というものをどんどん形にして行きたいです。

( 編集者 ) ところで営業として苦労することといえばなんでしょう?
(白田さん) 変な話に聞こえるかもしれませんが、地域を回っていると障壁になるのが 「言葉の違い」です。
( 編集者 ) 方言ですね。
(白田さん) そうです。これが結構キーポイントなんです。コミュニケーションの基盤 ですから、これを克服しないと、本当の営業活動は難しいです。その地域の人になりきるか、またはなりきる努力を精一杯見せないと入っていけませんから、これは特に気をつけています。

( 編集者 ) 担当されるエリアが広いので、それも大変そうですね。地道な努力をされて いるのですね。頭が下がります。
(白田さん) それほどでもありません。結構アバウトにやってます。

( 編集者 ) 白田さんのお仕事でのこだわりとは何でしょうか?
(白田さん) 

 1、まず、「元気なあいさつ」です。
   これが、扱う商品の品質と価格に対する自信を表すと思います。
 2、メーカー提案を欠かさない。
   お客様とのWin-Winの関係を保つ努力と真心が大事です。
 3、なんでもチャレンジ、それがチャンスを生む。
   動かないで待ってても何も起こりません。

この3つでしょうか。

( 編集者 ) なんか、、、ばっちり、、、キマリましたね。
(白田さん) そうですか。キマリましたか。、、、、、安心しました。
***** 2人顔を見合わせて、、、笑顔。 *****

( 編集者 ) ところで、白田さんの夢を教えてください。
(白田さん) 私は学生時代にサーフィンが好きでアメリカやフィリピンに行った事があります。そのときの経験が、今でもとても鮮烈に残っています。基本的に「海」が好きなんですね。
 それもあって、海外に日本酒「SAKE」のビジネスを展開させたいですね。これが「夢」です。

( 編集者 ) そして、ビジネスで訪れた国の海の穴場でサーフィンを堪能する。これも「夢」ですね?
(白田さん) 、、、いいですね。実は、もう弊社の商品「米一途」など、いくつかの銘柄でアメリカ輸出が始まっているんです。
( 編集者 ) ほう!、、、では、もう夢じゃないですよ。全然!
これからの展開が待ちどうしいですね。是非、全世界に小山本家酒造の名前をとどろかせてください。

(白田さん) わかりました。がんばります。
( 編集者 ) 今日はお忙しい中、ありがとうございました。
(白田さん) こちらこそ。ありがとうございました。

「営業の顔」を持った白田さんの横顔は、意外にも鋭い光を放っていた。それは、話す言葉や笑顔だけでは、はかり知ることの出来ない営業ならではの厳しい局面をいくつも乗り切ってきた、男の「自分に対する厳しさ」の光だったのかもしれない。彼の本当の男っぷりは、一緒に生活して、一緒に働いてみないとわからないだろう。
 それにしても確かに彼が営業マンとして販売するお酒は、いったいどんな味わいなのだろうと、興味を持ってしまわざるを得ない”何か”がある。
 ・・・・・これこそ本当の「営業」の魅力。